入社3年目社員の本音「会議で何を話しているのかわからない…」LINE堤奈々絵さん(2018.05.05)

あなたの知らない若手社員のホンネ~LINE株式会社/堤奈々絵さん(24才、入社3年目)~

管理職にとって、20代の仕事へのモチベーションの理解が、職場での良好な関係を築くための一丁目一番地……、とは言ったものの、「この会社の社員で40代の人とはほとんど会ったことがない」(堤奈々絵さん)。「この3、4年で社員が3倍の1700名ほどに増えた」(広報担当)。若い人が一丸となり、会社の運営に携わる姿がありありと見て取れる。

第20回目はLINE株式会社 エンタメプロダクト企画2チームLIVEグローバルプロダクト企画兼務 堤奈々絵さん(24才)入社3年目だ。

今やインフラとなりつつあるLINEだが、彼女は若者を中心に支持を得ているLINE LIVEの企画をメインに担当している。

■わからないことは素直に口に出す

父親の仕事の関係で幼い頃、ロスで暮らした経験があり、周りには米国に移住した韓国の人たちが多く、韓国語には親しみがありました。留学は経験したいと思っていたのですが、ちょっと人とは違う言語を学んでみたい。Kポップも流行っていましたし、大学3年の時に韓国に留学しました。

「LINEが募集しているけど向いてそうじゃない?」留学時代に韓国人の友達から声をかけられ、韓国からエントリーシートを提出し、帰国した時に面接を受けてトントン拍子に。

配属は今と同じ、LINE LIVEというライブ配信のアプリをメインに担当する部署です。 アプリをインストールすれば、誰でもライブ配信ができる、それがLINE LIVEです。LINEは家族や友人や親しい人たちと、連絡を取り合うツールという印象ですが、LINE LIVEは公開したライブ動画を誰でも見ることができ、繋がることができます。声だけの配信も可能です。配信を見ている人は“いいね♥”を送ったり、コメントを送信したり、応援アイテムを送ることで、配信する人のファンになることもできます。

例えば、学校の友達と一緒の時に、カラオケで歌っている姿とか、自分のダンスを配信したりもできます。ライブ配信の内容はバラエティーに富んでいる。ユーザーのターゲットは十代、小、中学生も使っています。

LINE LIVEは、私が入社した年にサービスを開始しました。その頃の社内はなんでもやっていこうという雰囲気でした。でも、まず戸惑ったのは開発の知識がないから会議に出ていても、何を話しているのかよくわからないこと。例えば、

「今日サーバーをデプロイして、明後日にはホットフィックスを出そう」

いったい何の話をしているんだろう……。要約すると、“あるサーバーの開発とリリースを今日中に完了して、明後日には緊急の修正版を出す”という意味なんですが、入社当時の私にはまったくわからない。プロジェクトチームの開発に同期がいたので、開発の用語や要望を質問して、翻訳をしてもらっていたんです。

すると、「こっちとしては、わからないことをはっきり言ってくれる企画者がやりやすい」そう開発の同期に言われました。

「企画から質問がないと、僕らは理解していると思い込んでしまう。素直に“ここわかりません、もうちょっと説明してほしい”と言ってもらうと、企画が何をやりたいのか、より理解することにつながるし、開発の立場でそれを実現する方法も、より詳しく説明できる」というような言葉をもらいました。

企画と開発に限らず、お互いにわからないことは素直に口に出していかないと、目指しているものが違ってしまう恐れがあると感じたので、

「あのう、すみません、意味がわからないんです」会議中に思い切って、私はそう発言をしたんです。すると、「実は私も…」と、交わされている言葉の意味が、わからないと言う人が何人もいました(笑)。

■顔を合わせてコミュニケーションする重要性

これもコミュニケーションの大切さを思い知らされた出来事で。私が入社した1年目の暮れに、渋谷のヒカリエのカフェコーナーを借り切り、LINE LIVE OF THE YEARというイベントが開催されときのことです。私は企画のスタッフとして、イベントの告示等のためのウェブサイト制作の進行を担当していたんです。

ウェブサイトのデザインを担当するチームは韓国と日本にあって、この時は韓国のチームが担いました。デザイナーの提案は「イベントのウェブサイトはシンプルなデザインのほうがいい」と。でも、私は「ゴチャゴチャしているように見えても、派手なものにしたい」と、オファーを出す。LINEやメールやチャットや、テキストベースでやり取りをしていたのですが、デザイナーと私の溝は深まるばかり。納期が迫っていて、企画側からの一方的な要望を押し付けるような形となってしまった。

どうもしっくりいかない、デザイナー側の“やらされている”というニュアンスが伝わってくる。この現状を変えていい仕事をしてもらうためには、直接話をしないとダメだと私は思って、緊急のテレビ会議を呼びかけたんです。流暢とまではいかない韓国語を駆使して、LINE LIVEのコンセプトを説明すると、韓国側のデザイナーは、実はターゲットが10代という背景を知らなかったと。

「1年の締めくくりのイベントなので、目立つものにしたい。10代の子たちが、シェアしやすいような写真を多めに使ったウェブサイトにしたいんです」そんな私の話に、

「チャルイヘヘッスムニダ(よく理解できました)」と、すんなり問題は解決しました。

LINEのメッセージのアプリの便利さは、説明するまでもありません。でも、相手の目を見て直接話をする、それが勝るコミュニケーションはないのではないかと、あらためて実感した出来事でした。

私の仕事はユーザーの声を吸い上げて、企画に反映することです。私が気になっていたユーサーの声、それは「自分の顔をよく見せる機能がほしい」「顔を可愛くしたい」という言葉でした。そこで――

コミュニケーションの大切さ学習した彼女は、デザイナーや開発チームと一緒になって、LINE LIVEのアプリ全体のコンセプトが、激変するような一大機能を開発していくのだが、それは後編で。

取材・文/根岸康雄
http://根岸康雄.yokohama