入社3年目社員の本音「夢は尽きません」LINE堤奈々絵さん(2018.05.06)

あなたの知らない若手社員のホンネ~LINE株式会社/堤奈々絵さん(24才、入社3年目)~

■前編はこちら

管理職にとって、20代の仕事へのモチベーションの理解が、職場での良好な関係を築くための一丁目一番地……、だが今回は「この会社の社員で40代の人とほとんど会ったことがない」(堤奈々絵さん)。「この3、4年で社員が3倍の1700名ほどに増えた」(広報担当)。若い人が一丸となり、会社の運営に携わる姿がありありと見て取れる会社だ。

第20回目はLINE株式会社 エンタメプロダクト企画2チーム LIVEグローバルプロダクト企画兼務 堤奈々絵さん(24才)入社3年目。

今やインフラとなりつつあるLINEだが、彼女は十代を中心に圧倒的な支持を得ているLINE LIVEの企画をメインに担当する。LINE LIVEはアプリをインストールすれば誰でもナマ配信ができ、それを誰もが見ることができる。内容はバラエティーに富み、配信を見た人は“いいね♥”を送って応援したり、配信者のファンになることもできる。

学生時代韓国に留学体験のある彼女は留学中にLINEの募集を知り、エントリーしてトントン拍子に入社。ユーザーの声を吸い上げ企画に反映するのが彼女の主な仕事だ。

■アプリを刷新した新機能

「自分の顔をよく見せられる機能がほしい」「顔を可愛くしたい」というユーザーの意見が、私はずっと気になっていたんです。顔を可愛くすると言ったら、プリクラだと思いまして当時、オフィスがあった渋谷周辺のプリクラを調べて回りました。

肌の色を変える、顔の形を変える、肌を滑らかにする、ネコのヒゲや犬の耳や鼻で顔を可愛くする等、プリクラの機能をそのままLINE LIVEに持って来られないかと。

「若い子の気持ちは若い子にしかわからない。ユーザー世代と近い堤さんが面白いと言っているんだから、やってみようじゃないか」

これは30代後半の上司の言葉でした。プリクラは静止画ですが、LINE LIVEは動画、ここが一番の違いで、しゃべっていて顔が動いたときに、デザインが変わったら面白いなと。口を開いたらイヌ型の耳の色が変わったり、まばたきするとハートが出てきたり、涙がボアッと溢れ出たり。開発とデザインは韓国のチームが担ってくれたのですが、韓国にもプリクラはあるので、イメージを伝えやすかったです。

「LIVEスタンプ」というこれらの新機能をリリースしたのは、2016年10月でした。果たして使ってもらえるだろうか。リリースして2〜3分後には使ってくれるようになって、あっという間に何百万人というユーザーに広まりました。現在、顔の動きや表情に合わせて変わる「LIVEスタンプ」は約50種類。画面全体の色味がオシャレに変わる「フィルター」が12種類。配信者は自由にこれらを使うことができます。

この機能をリリースしたことで、アプリの中の色合いがガラッと変わりました。それまでの無機質だったのが、ピンクや青、白、赤等、配信がパッとカラフルになって、嬉しかったですね。アプリ全体のコンセプトを一変するような機能だったと思っています。

■自分で配信してみたら…

「ユーザーの気持ちをもっとわかるために、どんな方法があるでしょうかね」

ある日のことです。アフターファイブの飲み会で、そんな話題で盛り上がりまして。

「じゃあ、堤さん、自分で配信してみればいいじゃない」「あっ、それ面白そうですね」

先輩の何気ない言葉に、私は手を打つようにうなずきました。そこでさっそく、公式チャンネルを一つ作り、LINE LIVEで配信を開始したんです。

『私はLINEの社員です。LINE LIVEの企画を担当しています。何でもいいですから意見をください』そんな内容のメッセージを配信して。寄せられたユーザーからの意見は興味深かったですね。その中に『もう少し、プライバシーを守れるような機能を入れてほしい』という内容のコメントがありました。

今のLINE LIVEの仕組みですと、誰でも自分のことをフォローできる。“フォローしたい”という申請が来た時に、OKかNGか判断できるような機能がほしいというリクエストでした。若いユーザーは自分の姿をみんなに見てもらいたいはずだと、私たちは考えていました。でも、ユーザーの中には自分の知っている範囲内の人だけに、見せたいという思いを持っている人もいることを知りまして。私にとっては新鮮で、今後の機能の追加に参考になる意見でした。

ちょっとショックだったのは、ネガティブなコメントが来た時です。

「この企画考えたヤツ、頭悪いんじゃねえの!?」とか、「自分は頭いいと思って企画してるんだろうけど、ユーザーの心を全然わかってないんだよ」とか。自分で言うのもヘンですが、私はかなりポジティブで。その私が思った以上に傷つくと身をもって知りまして。ネガティブな気持ちのまま、ちょっと配信を続けていくのは難しいなと。

LINE LIVEは十代がターゲットですから、若い子たちを反社会的なものから守っていくために、モニタリングチームが福岡にあり24時間365日、配信とコメントをチェックしています。ユーザーは日常の学校生活の中で、表現できないものをLINE LIVEの配信で表現したいという人が多い。そんな若い人たちを守るためにも、ネガティブなコメントをある程度、触れさせないようにする機能が必要なのかなと。自分で体験することを通して、そんな思いが頭をよぎりました。

歌をライブ配信するミュージシャンを、ユーザーと同じ立場で応援してきましたが、LINEオーディションという企画の担当になったのは昨年でした。エンターテイメント事業部の中のLINE RECORDSチームとLINE LIVEがコラボして、アーティストを発掘しようという試みです。オーディションの審査の様子をLINE LIVEで配信して、その中で総合グランプリを獲得した
「No title」という15才の3人組のバンドが、LINE MUSICという、うちの音楽配信サービスで楽曲を発表したんです。

「No title」の3人が会社に挨拶に来た時に、「人生が変わりました」と言われました。

私は人の人生を変えることに貢献できているんだ……そんな思いを抱きましたね。不思議な気分でした。この3人にファンができて、これから新たなものが生まれていくことでしょう。

学生時代からプロデュースのようなことに興味がありしたが、LINEは特に東南アジアに強い。LINE LIVEもLINEの強い地域に進出していきたい。日本の若い子たちの文化を発信し、アジアの若い子たちの発信も受け入れる、LINE LIVEのライブ配信が、そんな世界のコミュニケーションツールに成長していければ……。

夢は尽きません。

取材・文/根岸康雄
http://根岸康雄.yokohama