【Re:Start】《前編》仲の良い友人の就活に励む姿を見て、このままでいいのかと……

株式会社ジュポンコーポレーション 営業部 澤田彩依里さん(24)
高校卒業後、フリーターを経て2017年4月に株式会社ジュポンコーポレーションに入社、現在は営業として関東、東北地方の美容室を担当する。

人は思い描いた通りに生きられるものではない。こんな仕事に就きたかった、こんな道に進みたかった、でもうまくいかない……。壁にぶつかり想い悩む。

だが、自分の意思や夢は自ら実現するしかない。このシリーズは順風満帆な人生を送る若者を取り上げるものではない。ぼんやりとでも目標を見据え、前に向かって歩みだし、やがておぼろげだった自分の道がはっきりと見えてくる。そんな何かを見出した若者にスポットを当て、その生き方にうなずき、静かに拍手を贈る企画である。

シリーズ第3回目は1967年から52年の歴史を持つ、ジュポン化粧品を販売する株式会社ジュポンコーポレーション 営業部 澤田彩依里さん(24)。入社は2017年4月。主力商品のファンデーションをはじめ、植物から抽出しブレンドしたオリジナルエキスを主成分した化粧品が特徴。その販売方法は主に全国で24万店と言われる美容室での直接販売という形態。澤田さんは担当の関東・東北の美容室を訪問、自社商品のセールス営業が仕事である。

笑顔で伝わる好印象は万国共通

笑顔でいた方がいいことが多いかな、暗い顔をしていると嫌なことを引き寄せそうだ。はっきりそう意識したのは、千葉県の実家の近くのラーメンチェーン店でアルバイトをはじめてからでした。学費が安い公立の学校でしたから、授業料は自分で払おうと、高校1年からはじめたアルバイトは6年間続きました。

アルバイトをはじめて間もない頃、レジの合計の金額が合わなかったり、伝票を書き間違えたりした時は、社員さんに厳しく言われます。そんな時でも「すみませーん」と笑顔で応えて、いつも笑顔を忘れないように心がけました。

「今日は澤田ちゃんがいる日だから来たんだ」近所のおじさんや、タクシーの運転手さんにそう声をかけてもらったり。厨房で調理の仕事をしていると、「澤田ちゃんの笑顔が見たいからさ、料理作るよりこっちで接客してよ」と、言われたこともありました。夏はスイカを差し入れてくれたお客さんもいた。駅で「こんにちはー」と、挨拶をする常連さんもいました。

中学の時の職業体験で保育園を選んだ私は、子供たちとの触れ合いにすっかり魅せられ、将来は幼稚園の先生か保育士になりたいと思っていたんです。でも金銭面や諸問題がありまして、資格を取るための専門学校には行けなかった。そこで高校を卒業すると、保育園でアルバイトをはじめたんです。

私は4歳児の担当で、“あいうえお”を教えたり、鉛筆の持ち方を教えたり。「澤田センセイ」と呼ばれて。字を覚えると褒めてある。すると子供は大喜びして、楽しかったですよ。

平日は保育園で、土日はラーメンチェーン店でアルバイト。たまに深夜の時間帯もラーメン店で働きましたが、何せ保育園の時給は安かった。これでは掛け持ちでアルバイトをしても生活できない。ですから、保育園は仕方なく1年で辞めたんです。保育園を辞めてからは上野のイタリアンのお店で、アルバイトをはじめました。

上野という土地柄、外国人観光客が多い。店内で使う簡単な英語を覚えて。「キャン ナイ ヘルプ ユー?」とか、「ホワット ウッジュー ライク?」とか。このお店でも「笑顔がいいね」と、言われました。オーストラリア人のお客さんに「サンキュー」と、バッジをいただいたことがあった。笑顔で伝わる好印象は万国共通ですね。

将来的にバリバリ働くためには

ラーメンチェーン店とイタリアンとの掛け持ちのアルバイトで、暮らしていくには困らない。アルバイトは働く時間がキチッと決められています。予定を組むにも都合がいいし、フリーターという働き方は私に合っている。ちょうどいい働き方だと、保育園を辞めてからダラダラと、3年ほどフリーターを続けていたんです。

すると、同じ年の友だちが就活の時期を迎えて。一緒に遊んでいた友だちが、就活で忙しくなるのを目にしまして。

このままでいいんだろうか……、そんな疑問が私の中で芽生え、徐々に大きくなっていったんです。私は当時から結婚しても一生、バリバリ働こうと思っていました。それにはアルバイトで生活するよりも、正社員になって腰を落ち着け、ちゃんと将来のことを考えないといけないなと。この先、一人暮らしをすることもあるでしょうし、経済的にも安定を確保して自立できるようになっておきたい。

よし、就職しよう、正社員になろう、そう思ってもどうしていいのか。学生でしたら就活の道は、自ずと目の前に開けているのでしょうが、フリーターの私の周りに就活のことを教えてくれる人はいません。いったいどうしたらいいのか。

ハローワークを訪ねる選択肢もありましたが、まずはウェブで探そうと思って。当時の私の状態の「フリーター」、そして「就職方法」と、キーワードを検索欄に入力したんです。すると上位に表示されたのが、就職支援の会社のジェイックでした。

心強い仲間たち

ジェイックのチェック項目には、フリーターだけではなく、第二新卒、中退者等、私と同じように、目標を見失いかけた人たちに共通する項目が並んでいて。

ハローワークと違い、研修をしてくれるところに惹かれました。しかも無料です。当時は6日間の研修を経ると、集団でいろんな会社と面接できる、正社員になるための道が、きちんと示されていたのも安心できました。

エントリーして、まず新宿の会場で行われた説明会に出向いたのですが、当日参加した5名ほどの女性は、当時22才だった私よりも年上で。皆さんの話を聞くと、フリーターや他の職業を経験した人や、私と同じような境遇の人たちが集まっている。この人たちと一緒に研修を受けることが心強かったです。

私が受講したのは、女子だけが参加する女子カレッジという研修でした。フリーターの私は、どんな仕事が自分に向いているのかも漠然としていて。名刺交換の仕方をはじめ、ビジネスの常識を何も知らない。正直に言って、研修を受ける前は不安でした。

フリーターだった澤田さん、さて、正社員へと続く道をどのように踏みしめていくのだろうか。その詳細は後編で。