【後編】入社7年目社員の本音「いつの間にかモーレツに働いていた、数字にへの責任と自分の頭で考える力が管理職へと繋がりました」ジェイック・笹森成人さん

■あなたの知らない若手社員のホンネ~ジェイック/笹森成人さん(29才、入社7年目)~

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20代で管理職といえば、これまでの仕事に対する悪戦苦闘は想像がつくというものだろう。今回は若手社員の仕事へのモチベーションと、管理職としての自覚の物語だ。20代の読者にとっては、どんな仕事のやり方を経て管理職を任されるに至ったのか。興味のあるところだろう。

シリーズ38回目は株式会社ジェイック 営業カレッジ事業部 横浜支店支店長 笹森成人さん(29)、入社7年目だ。ジェイックは求職者と、企業のペアリングをコーディネイトする転職支援の会社。得意とするのはフリーターや第2新卒、大学中退者等、いわゆる“負け”の味を知っている、履歴書で人事担当者にはじかれかねない20代の求職者。そんな若者に独自の研修を行い、意欲のある人材を企業に紹介している。

笹森さん自身も前職を半年で退職している。趣味や交友関係などプライベートに重きを置く人生をイメージしていた笹森さん、気づくと転職先のこの会社で、営業マンとして奮闘していた。入社して1年、仕事にも慣れたと自覚が芽生えた頃、尊敬する上司から落胆の苦言を告げられる。

信頼を得るために自分なりのやり方がある

僕らには、求人票を作るという大切な作業があります。仕事の内容やどのような人材を求めているのか、企業理念や社風や福利厚生等、求人を望む企業の社長や人事担当の方に、詳しくインタビューして文章にする。求職者はまずその求人票によって会社を知ります。

ある時、上司と会社を訪問し、応接室で担当の方にインタビューをしたのですが、質問が的を得ていなかったのでしょう。質問している僕よりも、お客様の視線がどんどん上司の方に移っていって。上司が代わりにインタビューをするような形になってしまった。

「キミはもっとできると思っていたんだよ」訪問した会社を後にすると、上司にがっかりした口調でそう言われました。

僕が落ち込んでいた時に、挨拶の練習までしてくれた上司を失望させてしまった、そのことに責任を感じましたね。

インタビューは以前から苦手でしたが、いったいなぜ、求人票をしっかりと書くための質問ができなかったのか。僕は自分なりの仕事のやり方が、分かっていないのではないか。だから、自分の言葉で的確な質問をすることが、できなかったんじゃないか。

自分なりの仕事のやり方———、先輩の中にはアポイントを取る電話でも、なめらかに話をして質問もポンポン繰り出し、あたかも友達と話をしているかのような親密さを醸し出せる人もいます。すごいと思いますが、不器用で人見知りする僕には、とても真似できません。

では、僕流のやり方とは何か。

うちからの紹介者がうまくいくと、次もうちを利用する企業さんが多いのですが、そんなお客様との関係をじわじわ積み重ね、厚い信頼関係を築いていく。僕のやり方はそれしかないと。

例えば「求人票は一週間後に送ります」と応えて、翌日には仕上げて信頼につなげる。求職者の良い点だけを企業さんに伝えるのではなく、「この若者は計画性がないところがありますが、きちんとフォローしていただければ、いい仕事をしますよ」とか。研修を通して見えたウィークポイントも含め、人材に関する情報を手厚く伝えると、企業も安心して僕に任せてくれます。

「採用枠は一人だけど、紹介してもらった中で二人いい若者がいるんだ。笹森くん、決めてくれないかな」そんな相談を受けた時は、その会社の人事担当者の方と、強い信頼関係が築けているなと感じます。